袋井のメンテナンス・クリーニングしみず です。
「汗になっているので、汗が取れるようにクリーニングして欲しいのですが?」と、
英国屋さんの夏用モヘアを使用した礼服の水洗いクリーニングがきました。

英国屋さんといえば、有名な高級オーダー専門店です。
こんなタグです。

浜松近辺ですと、浜松の遠鉄百貨店に入っています。
値段が高いように感じるかもしれませんが、仕立てがしっかりしていますので、
変に流行を追ったデザインにしなければ本当に長く着用することができると思います。

「でも太ったりして体型が変わると、もったいないんじゃない?」って声をたまに聞きますが、
体型の管理は、みなさん次第ですので、
食べ過ぎ飲みすぎに十分注意しましょう!

さて今回の礼服ですが、
モヘアという生地を使用しています。
モヘアは、繊維が硬く、型崩れしにくい繊維で、夏用の衣服によく使用されています。

モヘアと言っても毛100%ですので、水洗いクリーニングをすると少し縮むのですが、
繊維が硬い分、縮んだ時伸ばすのに苦労するんですが、
ちょっと難点なんですよね!
まあ手間が掛かって面倒なんですね!

そんな愚痴を言っても仕方が無いですから、お仕事!お仕事!です。

まずは、いつものようにカルテの作成からおこなっていきます。
スーツのいろいろな部分をチェックします。
シミや汚れ、ホツレや傷など無いか、ボタンや装飾品などどうなっているか、
などなどいろいろ細かくチェックします。

次に各部の寸法を測っておきます。
スーツの設計図になりますから、しっかりと採寸しておきます。
この寸法表がないと、縮んでいるのか?伸びているのか?全く分かりませんから、とっても重要になります。
自分のわかるようにしっかりと採寸して記入しておきます。

カルテができましたら、次は、型崩れ防止の為の仕付け糸を打っておきます。
ボタンホールにポケット口、胸ダーツに脇ダーツ、肩パットに垂れ綿、袖縫い代と仕付け糸を打っていきます。

できましたら、次は前処理をしていきます。
衿周りや袖口、シミや汚れの部分を前もって処理しておきます。

みなさんは、洗濯機にポン!と入れて、スイッチオン!って感じで洗濯すると思いますが、
それではきれいになりませんから、しっかりと前処理して汚れやシミを落としておきます。

前処理が終わりましたら、次はドライクリーニングになります。
ドライクリーニングで油性汚れを除去していきます。
厚手の弾力ネットにいれて、礼服にダメージがないようにして洗っていきます。

やさしく!やさしく!ドライクリーニングをしましたら、乾燥になります。
ハンガーに掛けて一晩自然乾燥させた後、熱乾燥させてしっかりとドライ溶剤を乾燥させます。

しっかりとドライ溶剤が乾燥しました英国屋のオーダー礼服を水洗いクリーニングしていきます。

厚手の弾力ネットに入れまして、水を張りました水洗機の中に泳がせます。
あ~水の中でゆらゆら揺らめく礼服の気持ち良さそうな事!
以上に暑い今日は、水の中で泳いでいる礼服が、特に気持ち良さそうに見えてしまいます。

あ~自分もプールで泳ぎたい!
そんな気分です。

さて、そんな気持ち良さそうな礼服を洗浄、すすぎ、トリートメント糊付けとおこないまして、
やさしく脱水していきます。

脱水後は、おなじみのビッグハンガーに掛けて、寸法とシルエットを修正していきます。

後はこの状態で一晩自然乾燥させまして、その後テーラードプレスでアイロン仕上げをおこないます。

水洗いクリーニングの後、一晩自然乾燥しました英国屋のオーダー礼服をテーラードプレスしていきます。

が、まずは寸法のチェックからおこないます。
「ん!大丈夫ですね!」縮みは、ほとんどありません!
それでは、アイロンプレスをしていきます。

まずは、ズボンからアイロンプレスをしていきます。
いつものようにアイロンをかけるところにコテ布を当て、霧吹きで霧を打ち、電蒸アイロンの熱だけでプレスしていきます。

ズボンは、まずは裏からポケット袋地、ウエスト、腰周り、シック、股下とアイロンプレスをしまして、
次に表地に返しまして、股下、腰周り、ウエストとアイロンプレスをしていきます。

途中、途中で寸法を確認するようにアイロンプレスをしていくのですが、
今回の英国屋さんのオーダー礼服は、さすがにテーラーの仕立てがしてあり、
とってもアイロンプレスがしやすかったです!

例えば、ズボンの「シック」!
既製のブランド服などのシックは、ただ布を当ててあるだけのシックが多く、
ズボンの股割りプレスをする時など、と~ってもアイロンプレスがやりにくいのですが、

さすがは、英国屋さん!
しっかりと股割りをした上で「シック」が付けられていますので、とってもきれいにアイロンプレスをすることができます!
こんな感じで股割りされた「シック」が付いています。

このシックをアイロンプレスしますと、
こんな感じできれいに股割りができます。

どうですか?
きれいに股割りされたズボンになっていますよね!

英国屋さんに限らず、テーラーでスーツを仕立ててもらうと、
今回のように、きれいに股割りされたシックに仕立てられています。

「そんな!細かい所まで、いいじゃん!気にしなくても!」と言う方もいるかと思いますが、

せっかく大切なスーツをオーダーするのでしたら、
そんな細かい所まで気配りしてくれるお店でオーダースーツを作りたいものですよね!

私も夏の礼服が無いので、一着作りたいのですが、
予算!が・・・・・とほほ・・・・です。
へそくりが貯まったら、作りたいと思います。

さて、話を礼服のアイロンプレスに戻しまして、
ズボン、上着とテーラードプレスを施していきます。

夏用のモヘア生地は、一見すると硬くて、縮みばかりに気を取られがちなんですが、
以外に簡単に伸びてしまうので、注意が必要です。

一通りアイロンプレスをしまして、ハンガーや人台に掛けて再度チェックをしてみますと、
「あ~!ここは、もうちょっと修正しないと!」って感じで、アイロンの修正箇所が出てきます。

テーラードプレスに掛かる時間も、慣れた、慣れたといっても今回も3時間弱かかりましたから、
生地や芯地にしっかりとアイロンの熱を伝えてシルエットを作り出す!
と、いうのは難しい作業ですね!やっぱり!

何回やっても神経を使いますし、
作業を簡略化できないのが難点!ですね。

まあ、そんなこんなで、コツコツアイロンプレスをしていきますと、
こんな感じに礼服が仕上がります。

「ん~!ビューティフル!」
良い感じに仕上がっています!
ちょっとアップで見てみますと、

いいですね!
汗も取れて、きれいにメンテナンス・クリーニングをして礼服を水洗いすることができました。

そう言えば先日、とある同業者のクリーニング屋さんが、私のスーツの水洗いクリーニングのやり方を見まして、
「何!ここまでやってるの!」
「これじゃ!1万円もらっても儲からないね~!」と声高らかに言っていましたが、

どう~も、とあるクリーニング屋さんは、1万円の仕事を舐めているように感じます。
よっぽど、とあるクリーニング屋さんのやってるクリーニングの仕事が簡単なのか、
楽に1万円のスーツクリーニングの仕事ができると思っていたようです。

確かに私のやってる1万円の水洗いクリーニングよりも、
1着千円のスーツクリーニングを10着やった方が、はるかに楽ですし、儲かります!

1万円の仕事が千円のクリーニングの10倍の仕事量かと言えば、
そうでは有りませんし!
実際には、50倍から60倍の仕事量になりますし、
気の使いようと言ったら、100倍以上の気の使いようになります。

とあるクリーニング屋さんは、「いいね~清水さんは、1万円の水洗いクリーニングを一日10着や20着やれば、大儲けで!」と会った最初に言っていましたが、

私が、「一日にどんなにがんばっても2着が限度ですよ!」 と言うと、
「え~!そんなに時間が掛かるの!」と驚いていまして、
その後に、「そんなに大変だったら、俺はやらないや!」だって、

なんだかな~です。
別に自分のマネをしろとは言いませんが、
クリーニング屋をやっていく上での向上心とか勉強意欲って、無いんですかね~?
なんだかな~です。

1万円、2万円の仕事を知っていれば、5千円や3千円の仕事が簡単にできます。
しかし、千円の仕事しか知らなければ、どんなにがんばっても千円の仕事しか出来ないんですよね~、
この辺の事が分かってくれば、向上心が出るんですかね~?

どう~も、1万円のクリーニング仕事を簡単にちゃっちゃっとやれると思っているようです。
困った物です。

そんな、いろいろなクリーニング屋さんがいる中で、
みなさんは、どちらにクリーニングの仕事を出しますか?

洗濯屋さんですか?それともクリーニング屋さん?
または、メンテナンス・クリーニング屋さん?
何処に出します?

何か目印でもあればいいんですがね~
問合わせはメールで tetuya6181@po2.across.or.jp まで、
それでは、また・・・・・