袋井のメンテナンス・クリーニングしみず です。
今日は、先日宅配便で送られてきました、銀座にあるマリオ・ペコラさんのオーダースーツを
当店のメンテナンス・コースで水洗いクリーニング・テーラードプレスと
一般的なクリーニングとはかけ離れた、ケアやお手入れと言った考え方の
メンテナンス・クリーニングをしていきたいと思います。
今回、メンテナンス・ケアをするオーダースーツは、銀座のマリオ・ペコラさんで作られたオーダースーツです。
紺のダブル6ボタンのスーツで、スーパー200’Sの生地を使用した、とってもきれいな仕立ての良いオーダースーツです。
こういったすばらしいオーダースーツを、当店にお任せして頂ける幸せを感じると共に、
「しっかりとお仕事しなくっちゃ!」と重い責任感も感じています。
それでは、メンテナンスコースでお手入れクリーニングをしていきましょう!
まずは、カルテの作成です。
シミや汚れなど全体を細かくチェックします。
次に各部の寸法を測ってカルテに記入しておきます。
上着は、前丈、袖丈、下袖丈、肩幅、着丈、中胴半寸と採寸して、
スラックスは、ウエスト、総丈、股下、ワタリ幅、ヒザ幅、すそ幅、ダブル幅と採寸しまして、カルテに記入します。
この各部の寸法が、と~っても重要になりますから、
自分が測って分かる箇所を決めて、しっかりと採寸しておきます。
カルテの作成が終わりましたら、次はホコリのチェックです。
いろいろなポケットの中や、スラックスの裏側の縫い代の裏側、裏地の裏側、ダブルの内側など
細かく各部をチェックしていきます。
できましたら、次は、型崩れを防止する為に仕付け糸を打っていきます。
ボタンホールに胸ダーツ、脇ダーツに腰ポケット、胸ポケット、垂れ綿に肩パット、袖の縫い代と
水洗いした時に、縫い代が起き上がってシルエットが崩れてしまわないように、仕付け糸を打っていきます。
慌てず、騒がず、落ち着いて、ゆっくりと仕付け糸を打っていきます。
慌てて縫って、生地を傷めてしまっては、元も子もありません!から、
私は、ゆっくり、落ち着いて仕付け糸を縫っていきます。
縫い終わるとこんな感じになります。
型崩れ防止のための仕付け糸が縫い終わりましたら、
まずは、ドライクリーニングをしていきます。
厚手の弾力ネットに入れて、ドライクリーニングをします。
やさしく、やさしく単品で、ドライクリーニングで洗っていきます。
乾燥は、ハンガー乾燥で熱乾燥をして、一晩自然乾燥をさせます。
乾燥しましたら、次は、水洗いクリーニングをしていきます。
スーパー200’Sの生地を使用したオーダースーツを水洗いクリーニングするんですから、
超~~神経を集中しなくてはいけません!
普通のクリーニング店が考えるような水洗いクリーニングですと、
まず!間違いなく弁償です。
スーパー200’Sのオーダースーツです。
金額もそれなりに、かなりお高いスーツになりますから、
繊細に、繊細に、やさしく水洗いクリーニングをしていきます。
もちろん!手洗いです。
そんな!機械に任せっぱなしなんて、とても怖くて出来ません!
ひぇ~~って感じで、
もしそんな光景を見たら、下手なお化け屋敷よりも超~怖くって、
背筋がゾォ~っとするでしょうね!
考えただけでも、オォ~~怖っ!
まあ、そんな野蛮な人たちは、放って置いて、
やさしく、やさしく水洗いをしましたら、やさしく、やさしく脱水します。
脱水しましたら、寸法をチェックしながらシルエットを整えていきます。
最近では、ビックハンガーを使用してシルエットを整えていきます。
こんな感じになります。
小じわを取って、軽く錘をつけて自然乾燥させます。
最近、袖のスリープ(袖の形を整える棒)で、アルミ製のスリープを見つけましたので、
そのアルミ製のスリープを使って、袖の形を整えます。
一般的に多くのクリーニング店さんでは、木製のスリープを使っているんですが、
(当店でも、もちろん使っていますが)
木製のスリープを水に濡れた衣服に挿入して乾燥させると、
袖の内側の部分に黄茶色のシミが付いてしまいます。
きっと木の色が移ってしまうんですね。
しかし、アルミ製のスリープでしたら、そんな心配もありません!
安心して使用することができますからね。
まあ、興味のある人は、クリーニングの機材商さんにでも聞いてみてください。
スラックスの方は、というとこんな感じになっています。
乾燥は、急激に乾燥させずに、ゆっくり乾燥させていきます。
このまま自然乾燥させまして、乾燥しましたらアイロンプレスになります。
水洗いクリーニングをして自然乾燥させた銀座ペコラのオーダースーツは、こんな感じになりました。
ぱっと見、「いいじゃん!これで」って、どこぞのクリーニング屋さんから声が聞こえてきそうですが、
これでは、まだまだダメです!
寸法こそ大きな狂いはありませんが、全体にクタクタで、生地の風合いが死んでしまっています。
この何となくイマイチな状態のオーダースーツを、テーラードプレスで生き返らせていきます。
腕の見せ所!です。
アイロンは、重た~い電蒸アイロンと細く使い勝手の良い電蒸アイロンの2種類のアイロンを使用して、手仕上げでアイロンプレスをしていきます。
アイロンプレスの基本は、まず地の目をそろえて、生地の上にコテ布を載せ、
その上に霧吹きで霧を打ち、電蒸アイロンの熱を使ってアイロンプレスをしていきます。
1・2・3・4と数字をゆっくり数えながら、しっかりと熱を伝えるようにアイロンプレスを施します。
一般の方だと、サッサッと早くアイロンを掛けるイメージがあるかと思いますが、
シルエットを出す為に、芯地などにアイロンの熱をしっかりと伝える為に、
ゆ~っくり、追い込み、いせ込み、アイロンプレスをしていきます。
これがテーラードプレスです。
特に水洗いをしたスーツにアイロンプレスを施すのですから、
テーラーの方が新品のスーツに対してするアイロンプレスよりも、どうしても時間が掛かってしまいます。
さっさっとアイロン掛けをして、水洗いしたオーダースーツが元の状態に戻ればいいんですが、
残念ながら、さっさっと掛けたアイロン掛けでは、元のオーダースーツには戻りませんからね!
サッサッとアイロン掛けをして、これでOK!!なんて状態のオーダースーツでは、弁償物になってしまいます。
まあ、そお言うわけで、ゆっくり、ゆっくりテーラードプレスをしていきましょう。
まずは、裏から芯地を仕上げて行きます。
寸法を出して、胸のボリュームを出して、脇、背中としっかりとアイロンプレスをします。
続いて、アームホールに移りまして、
垂れ綿、肩パットと前肩になるようにアイロンプレスをします。
表地に返りまして、
そのままアームホールの上袖部分と肩パットをアイロン仕上げをします。
そして、下袖部分もアイロンプレスをします。
上衿を裏から鎌衿になるようにアイロンプレスをしまして、前身頃に移っていきます。
前身頃、腰ポケット、脇、背中と一通りアイロンプレスをしまして、
最後にラペルを仕上て完成になります。
スーツ上下に掛かったアイロンプレス時間は、3時間30分から4時間に及びます。
超~疲れた~!って感じになりますが、とてもやりがいのある仕事でもあります。
まさに真剣勝負の一騎打ちと言った、神経を使うとっても難しい仕事です。
最後にアイロンプレスの終えたオーダースーツを、人台に掛けて最終チェックします。
こんな感じになりました。
ん~!いい感じに仕上がりました。
しかし、今回のオーダースーツは、さすがにスーパー200’Sの生地を使用しているだけあって、
と~っても難しかったですね~、
結構、気苦労しました。
コツコツ、コツコツ、丹念にアイロンプレスをしていけば問題ないのですが、
そのコツコツ、アイロンプレスをしていくのが、実に根気がいる仕事なのです。
焦らず、慌てず、じっくりと、ド~ンと構えてテーラードプレスです。
しかし、今回のオーダースーツのお客様、実にいい体をしていますよね!
アイロンプレスの終わったオーダースーツをじっくりと見ていましたら、
「いい体!してるな~!」と関心してしまいました。
たくましく厚い胸板に引き締まったウエスト!すごいですよね!
ん~~ん、マンダム!って感じになります。
かっこいい!ですよね!
問合わせはメールで tetuya6181@po2.across.or.jp まで、
それでは今日はこの辺で、また・・・・・