袋井のメンテナンス・クリーニングしみず です。
今回、ブランド・スーツを水洗いクリーニングするメンテナンスコースの仕事内容をみなさんにご紹介していきますね!
皆さんの中には、「オーダースーツやブランドスーツ、カシミヤのコートを水洗いして大丈夫か?」と不安に思っている方もいると思いますので、そんな方のためにも仕事内容をご紹介しますね!
写真での紹介になっていきますので、細かい部分は、分かりにくいかもしれませんが、お楽しみにしてください!
問合わせはメールで tetuya6181@po2.across.or.jp まで、
それでは、メンテナンスコースの仕事内容をお知らせしましょう!
今回は、「ラファエル カルーゾ」でロロ・ピアーナ スーパー120’Sの生地を使用したブランドスーツで紹介していきます。
ちなみに、裏地はキュプラです。
まずメンテナンス・コースの仕事の手順としては、カルテ作成からおこないます。
水で処理するのですから、最初の状態を把握しておく必要があります。
洋服の状態、シミ、傷、などを調べます。
少しシワになっていますが、ほとんど新品に近い状態です。
こんな感じです。
次に寸法を測ります。
上着は、右・左の前丈、袖丈、下袖丈、肩幅、着丈、中胴半寸を採寸し、
ズボンは、ウエスト、右・左の総丈、股下、ワタリ幅、膝幅、裾幅、ダブル幅を採寸して記入しておきます。
この表は、肝心要になりますので、何回計っても同じになるように、自分なりに決まりを作っておくと正確に採寸することができます。
自分が測って分かる採寸で良いのです。
次にポケット内の掃除、ズボン裏の縫い代裏側やダブルの内側などを掃除します。
その次に採寸チェックしたスーツに型崩れ防止の為に仕付け糸を打ちます。
オーダーなどの仮縫いの時に使う、仕付け糸を使用して型崩れを防止します。
仕付け糸を打つ所は、ボタンホール、腰ポケット口、胸ダーツ、脇ダーツ、垂れ綿、肩パット、袖縫い代に打って行きます。
きれいに縫う必要はありませんが、丁寧にやさしく縫って行きます。
急いだり、慌てて縫ったりしますと、生地を傷めたりしますので注意深く、優しく縫っていきます。
また、仕付け糸は、ポケット口以外は緩く縫っていきます。
水洗いした時に仕付け糸も縮みますし、水洗い後、引っ張って寸法修正する時に糸が邪魔にならないように緩く打っておきます。
今回の「ラファエル カルーゾ」のスーツは半裏仕立てのスーツですので、
仕付け糸を打つ場所は、ボタンホール、胸ダーツ、垂れ綿、袖縫い代、肩パットになります。
他の部分は、裏から縫い代が見えますし、ポケット口も使用しないように、すでに縫ってあります。
こんな感じです。
この後は、まずドライクリーニングをして油性の処理をします。
今日はすでに遅いので、ドライクリーニングをして、乾燥は一晩自然乾燥をします。
明日の朝、ハンガー乾燥の強制熱風乾燥をした後、水洗いをしていきます。
昨日、型崩れ防止の仕付け糸を打ち、ドライクリーニングをして一晩自然乾燥させた
「ラファエル カルーゾ」のブランドスーツをまずはハンガー乾燥で強制熱乾燥させます。
乾燥したら水洗いに移ります。
ネットに入れてやさしく手洗いします。
今回新しくした水洗機は、排水だけの工程ができるので作業性が上がり重宝しています。
よく「何で特別、汚れている訳でもないのに水洗いするの?」と聞かれますが、
水洗いすると当然ですが、カビにくくなります!
そして、肌触りがとても滑らかになり、着心地がとても良くなります!
肌触りや着心地をお伝えできないのが大変残念ですが、本当に違います!
さてスーツですが、洗浄、すすぎ、トリートメント加工と手洗いして、やさしく脱水します。
ギュ~と脱水しますとシワを通り越してキズになってしまいますので注意が必要です。
脱水したらハンガーに掛け寸法チェックをします。
だいたいは縮んでいますので、先に測っておいた寸法に伸ばします。
濡れた状態で引っ張ってやれば寸法修正できますので手で引っ張ります。
いきなり機械で引っ張るクリーニング店などありますが、良い生地になればなるほど伸びやすくなりますので、初めは手で引っ張るようにしましょう!
寸法を修正してシルエットを整えて自然乾燥させます。
私はどうも熱で強制乾燥をするのが好きではないので自然乾燥します。
まだだいぶ濡れていますのでシワシワですが、生地の重さで自然とシワも減って乾きますのでこのまま乾燥させます。
乾燥後は電蒸アイロンを使ってテーラードプレスをしていきます。
水洗いして乾燥したスーツは、こんな感じになっています。
水洗いしましたのでヨレヨレになっていますが、思ったほどシワになってないもんでしょ!
まずは寸法を再度測って確認します。
寸法も濡れている状態で手で引っ張って寸法を出しておきましたので、縮みも無く乾燥しています。
気持~ち縮んでいるくらいですから、ちょうど良い状態になっています。
それでは、仕上ていきます。
アイロンは、電蒸アイロンを使って主に熱でアイロン仕上げをします。
アイロンの熱は、プロの私たちは180度から200度くらいで仕上げますが、一般の方は、160度以下にしたほうが良いでしょう。「中」以下ですね。
アイロンの当て方はと言うと、まずアイロンを当てる部分を手で平らにして裏地などがよれてシワになっていないようにセットします。
その平らになった部分に綿のコテ布を掛けて、霧吹きで霧を打ちます。
そしてアイロンを乗せ1・2・3・4と数えて熱をしっかり伝えてプレス仕上をします。
アイロンは、プレス仕上げと言うくらいですから、ゆっくり歩くようにアイロンを押してプレス仕上げします。
オーダースーツやブランドスーツに掛かるアイロンプレス時間は、1着上着とズボンで3時間から4時間ほど掛かります。
「サッと掛ければいいじゃん!」と声が聞こえてきそうですが、
残念ながら、熱を伝えながら仕上るのでどうしても時間が掛かってしまいます。
4時間ほどアイロンプレスを説明するのも大変なので、また後日説明します。
細かい説明は、6月すぎのクリーニング屋さんが暇な時期になったら細かく説明しますね!お楽しみに!
しかし、水洗いしたスーツを見ていつも感じるのですが、
「裏地が縮みすぎる!」 と感じます!
みなさんが思っているよりも表地は縮まず、裏地がやたらに縮みます。
キュプラで2~3センチ・レーヨンでは5センチくらい縮みます。
特にズボンの裏地!
何とかならない物なんですかね!
表地ばかりに気を取られずに、裏地の縮みも改善してもらいたいですね!
そうすれば、もっと楽に仕上げができるのに!と感じますね。
さ~て、今回は3時間ほどで仕上ることができました。
試しに蒸気を出して、バキュームなども使用しましたが、
スーパー100’Sを越える生地は、蒸気はダメですね!
やはり霧と熱でアイロンプレスをするのが一番きれいに仕上がりますね!
今回はこんな感じに仕上がりました。
このスーツの持ち主はかなり細身の方でして、人台が余っていますが、ご了承ください。
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