袋井のメンテナンス・クリーニングしみず です。

ラファエル・カルーゾ「Raffaele Caruso」のウールコートを「水洗いメンテナンスコースでお手入れクリーニングしてください」とのご依頼を受けましたので、お仕事していきます。

ラファエル・カルーゾという、イタリアブランドのウールコートで裏地はレーヨン100%です。
正直この裏地は、あんまりうれしくありませんね!

どうもイタリアブランドのレーヨン裏地は、縮み易いので、後々の処理が結構大変なんですね。
まあ愚痴を言っても仕方がありませんから、メンテナンスしていきましょう。

まずは、状態チェックをします。
前身頃に1箇所引っ掛けた傷がありますから、注意が必要です。

それから、デザイン的に袖が「雨降り袖」になっています。
ナポリ仕立てのキートンやイザイヤなどに見られる袖で袖山にシワがワザと出来るようにしてあります。

次に寸法を測ってカルテを作っておきます。
水洗いクリーニングをするうえでの重要なカルテになりますから、しっかり採寸しておきます。
ボタンホールを仕付け糸で留めておきます。

ではまず、ドライクリーニングをしていきます。
厚手の弾力ネットに入れて、やさしく!やさしく!ドライクリーニングします。

乾燥は、ハンガーに掛けた状態で熱乾燥します。
ハンガー乾燥ですと、洋服にダメージを与えませんから、とってもGOOD!な乾燥方法です。
ただ欠点は、数をこなせないのが難点ですがね!

ドライクリーニングが乾燥しましたら、水洗いクリーニングをしていきます。
やさしく!やさしく!手で水洗いしていきます。
洗浄、すすぎ、糊付けを手でやさしく水洗いします。
最後に排水をしてからやさしく脱水をします。

脱水が要注意!で、ギュッと絞ってしまうと、シワを通り越して傷になってしまいますので、
ボタボタすぎず、ギュッと絞りすぎず、適度な状態になるように脱水します。
脱水後は肉厚ハンガーに掛けて、手で形を整えながら寸法を修正していきます。

今回のコートは、裏地がレーヨン100%ですので、もっと裏地が縮むかと思ったのですが、以外と縮んでいなく、寸法修正が大変でなくて助かりました。
思っていたよりも普通にやさしく!やさしく!手でシワや形、寸法を修正します。
するとこんな感じになります。

まだ濡れた状態ですから「水で洗いました!」って感じですけど、
このまま一晩自然乾燥させてからアイロン仕上げをしていきます。

写真で見ると「雨降り袖」が良く分かるかと思います。
そういえば、以前の「メンズEX」でキートンの営業話が書かれていて、
今でこそ、雨降り袖が浸透して受け入れられてきましたが、
昔は、「なんだ!このシワは!」と多くのお客様に怒鳴られたそうで、大分苦労した様です。

よくナポリ仕立てって聞くかと思いますが、
ナポリ仕立てって、独特の着古し感が漂っていると思うんですが、
みなさんは、どう思いますかね?

水洗いしたラファエル・カルーゾ「Raffaele Caruso」のウールコートが乾燥しましたら、アイロンプレスをして仕上ていきます。
まずは寸法をチェックします。
乾燥前にしっかり寸法修正してありますので、大丈夫!ですね。

それではアイロンプレスをしていきます。
電蒸アイロンを使用してテーラードプレスをしていきます。
まずはアームホールから仕上ていきます。
裏からアームホールを伸ばさないように、縮んだ分だけアイロンプレスしていきます。
つぎに肩パットに移り、裏からアイロン仕上げをして次に表地からもアイロンプレスをします。
前肩になるように肩パットをセットして、アイロンプレスを施します。
次に袖に移ります。
袖馬を使って、袖をアイロン仕上げしていきます。
雨降り袖を壊さないようにアイロン仕上げをしていきます。

袖が終わったら、上衿を裏から仕上ておきます。
鎌衿になるようにいせ込み、追い込んでアイロンプレスします。
上衿を返して、衿内側からもプレスします。

次に身頃に移っていきます。
まずは裏から仕上ていきます。
すそからラペル、胸に向かってボリュームを出すようにアイロンプレスをします。
裏地が縮んでいたら、裏地も伸ばすようにアイロン仕上げをしておきます。
そうしましたら、そのまま脇のほうにづらして脇から背中を裏から仕上げをしておきます。

表地に返しまして、前身頃のすそからアイロン仕上げをしていきます。
すそ、前立て、胸、脇、背中とぐるっと廻るようにアイロンプレスをして仕上げていきます。
最後に衿ラペルをアイロン仕上げをしてほぼ完成になります。

ハンガーに掛けて、アタリやテカリをチェック修正して全体をチェックします。
全体の修正が終わりましたら、完成になります。

アイロンプレスは、いつも書いていますが、
コテ布を使用して、霧を打って、その上に電蒸アイロンを当てて、熱プレスするようにアイロン仕上げをしていきます。

蒸気をバァーバァー出して、バキュームをバンバン引いてアイロン仕上げをする大手クリーニングさんには想像できないでしょうが、
手間ひま掛けてアイロンプレスを施します。

それから、これは実際に手で触れてもらえないのが残念なんですが、
水洗いしてトリートメント加工することによって、肌触りがとても気持ち良く、滑らかになります。

本当にこの手触りは、文章でお伝えできないのが大変残念です。
この手触りを体感していただけたら、水洗いする重要性が理解できるかと思います。

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